コードマーク御代田・外観

PHILOSOPHY

アイダアトリエは、東京・神楽坂に本拠を構える建築設計事務所です。代表の会田友朗は、大学にて風景論/景観工学を学び、渡米して大学院で建築学を修めました。建築は豊かな場の実現のための手段ですが、その設計において風景から考える思考の原点は大学時代に形成されました。20数年経ち、都市の歴史を感じる路地景観の残る街に事務所を置き活動しています。

「風景から考える」と言っても、景色を切り取る小さな窓から、地域の気候風土との関係、都市景観や地球規模での社会環境を考えることまでスケールや意味の次元は多様です。また、風景は、社会的な営みやコミュニティにおける活動の情景まで含む意味の広い言葉です。その曖昧さゆえに、人によって解釈もさまざまで、ひとつの結論に辿り着くのは容易ではありませんが、困難さに真摯に向き合いながら、建築や空間の設計に取り組んでいます。

風景がつくる建築

私たちは、「風景がつくる建築」を実践したいと考えています。ふたつの意味があります。ひとつは、その地域の風景、気候風土、社会に見合った建築をつくるということです。ここには形態、材料、環境性能などの要素が含まれます。見合ったといっても、単に受動的に従うのではなく、観察のうえに私たちの解釈を重ね、発見や驚きのある建築空間の創造を目指しています。

もうひとつが風景という「考え方」で建築を設計するということです。わかりやすい事例を挙げれば日本建築・庭園における「借景」です。遠くの風景をさえ自らに引き込むことで豊かな空間を創出する「知恵」がそこにあります。視点の移動にともない変化・生成するシークエンス景観という考え方、短歌や俳句に代表される言葉との連関で想起される豊穣な意味空間としての風景もあります。風景の考え方は、構造によって構築的に組み立てられる建築の考えかたと異なり、モノとモノ、モノとコトバの柔らかな関係性が新しい意味を創り出すという立場をとります。

コードマーク御代田・スケッチ

コードマーク御代田・内観

建築を風景にかえす

建築という器は、堅牢な構造で私たちの生活を守るとともに、曖昧な風景や人々の活動にくっきりとした輪郭をあたえてくれるものです。個人の解釈に委ねられ、また季節とともにうつろいバラバラになりかねない風景を、つなぎとめる器、そのような視点で、建築の設計に取り組んでいきたいと考えています。

このような考えをベースに、私たちは、家具や住宅から、リノベーション、ホテル等宿泊施設、図書館をはじめとする公共施設や海外のアーバンデザインにいたるまで多彩なプロジェクトを手掛けています。また、設計だけでなく、運営者に近い立場でのプログラム検討、施設の使い方ワークショップ等に関わる機会もあります。

「風景がつくる建築」は、生活や運営、地域との関わりを通じて、またその土地の風景にかえっていく(更新していく)と考えています。そのような循環の一部に私たちの設計活動が貢献できることを望んでいます。

株式会社アイダアトリエ
代表取締役 会田友朗