Ten Pillars House

十の柱の家

住宅 長野県北佐久郡御代田町

Ten Pillars House

RCの控柱による無柱空間のシンプルな「暮らす」ための小屋

敷地は軽井沢・追分エリアにも近い御代田町の緩やかな東斜面である。クライアントは、東京で長く続けてきた事業を後進に譲り、自然にあふれたこの地で、これまでの仕事中心の多忙な生活から、「暮らす」こと、そしてその暮らしを「楽しむ」ことを主眼にすえ、そのための小屋を建てたいという希望を話された。自ら開墾して農作業をしたり、庭をつくったり、自動車やバイクをいじる拠点となることも想定された。キッチンや水回りや収納に豪華な仕様は求められず、また水回り空間以外は壁で細かく仕切らず、小屋のようなシンプルかつフレキシブルな一体空間が求められた。

この地域で「暮らす」ことを最大限楽しむという目的のためには、日々移ろいゆく季節や時間を感じることのできる空間であることが大事だと考えた。そこで、風景のさなかにたたずむおおらかな一体空間をどのように実現するべきか考えた。結果として、基礎と一体となったコンクリートの壁柱を10本立ち上げ、一般製材による合理的な木造の架構(柱、梁、垂木)をサポートする構造として解くことを考えた。基礎と一体となった19本のRCの控柱はゴシック建築の袖壁(バットレス=buttless)のように屋根架構が開こうとする水平力(スラスト=thrust)を抑える役割を担う。このことで、建築の内部には、梁間方向で6m以上のスパンの木造としては大空間が実現している。

一方で、このコンクリートの袖壁は、内部から風景を切り取る(フレーミングする)役割も同時にはたしている。地域のシンボルである浅間山などが直接見えるわけではないこの敷地において、緑豊かではあるがややもするととりとめもない周辺風景を、借景として建築内部にとりこむために、コンクリートのような堅さのある素材で切り取ることは有効な手段である。風景を切り取る窓の比率は黄金比を参考に決定し、映画のスクリーンのように風景を定義することを意図している。

DATA

設計
アイダアトリエ
 担当 会田友朗 下平貴也
構造
坂田涼太郎構造設計事務所
 担当 坂田涼太郎 太田原ナヴィッド崇秀
施工
竹花工業
用途
専用住宅
敷地面積
1,886.47m²
建築面積
120.96m²
延床面積
92.74m²
構造規模
木造在来工法 平屋
写真
野秋達也