CORDMARK MIYOTA

コードマーク御代田

事務所 長野県北佐久郡御代田町

CORDMARK MIYOTA

風土を映し活動を育む 象徴的な現代の「町堂」

御代田町の面替地区の山林のなか、地域の里山環境を維持し、自治を共に考える活動のための民間の拠点施設として計画された。

機能としては、株式会社コードマーク御代田の社屋であるが、活動をともにするメンバーのためのワークスペースやミーティングスペースの他、メンバーや来訪者に飲みものや食事を提供する食堂と厨房、潤沢に収穫された地域の季節の食材を使って自分たちの保存食を潤沢につくるための食品加工室、そして農産物の仕分けや木材の加工等、屋外の作業の場としての豊かな軒下空間が求められた。

寄り合いの場であり、地域のコモンズとしての場を内包する建築は、森に佇む現代の「町堂」としてあるべきではないかと考えた。 まず、里山での活動を受け止め大地の連続としての土間とRCの高基礎、そして建築の中央にレンガ積みのペチカを厳しい冬を越すための環境装置として計画した。この土台の上に、多様な活動を受け止めつつ、活動の連鎖を促し螺旋状に段々につながる木造の箱状の床を設定した。そして、内部空間と呼応する象徴的な屋根をクリの心柱を中心としてかけた。これは、建築が豊かな自然環境のなか、風土になじみつつも、地域の人々の里山での活動を象徴する美しく凛とした結晶のようにあってほしいと願ったからである。

建築内部の螺旋状の動線は、山林をうねりながら巡る林道や軒下空間から建築内部への連続性を意識した結果であると同時に、歩むごとに風景が展開し、新しい視点を建築が編集する提案である。軒下から土間へ入ると真北方向正面に雄大な浅間山の景観がひろがる。階段をのぼりライブラリーからは西側の林越しが見える。冬は北アルプスの遠景も望める。ワークスペースから南には敷地が属するシンボルである平尾山。そして最後は東へと向きをかえ、手を入れて管理をしていく里山から続く「わたしたちの」尾根が姿をみせる。風景が建築をつくり、建築が活動を育み、活動の成果が風土へと帰る、そんな循環の拠点となることを願う。

「コードマーク」公式ウェブサイト

受賞歴
  • 日本建築学会「作品選集2024」

DATA

設計
アイダアトリエ
 担当 会田友朗 中村裕 下平貴也
構造
坂田涼太郎構造設計事務所
 担当 坂田遼太郎 鈴木一希
施工
堀内組
 担当 菊池悟
用途
事務所
敷地面積
2,167.66m²
建築面積
127.83m²
延床面積
185.88m²
1F 127.83m² / 2F 58.05m²
構造規模
RC+木造・地上2階建
照明計画
岡安泉照明設計事務所
テキスタイルデザイン
安東陽子デザイン
写真
野秋達也
CORDMARK MIYOTA
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